第181話
《坂本龍馬の夢をかなえた町
見よ十津川郷士の末裔剣士たちを!》
2012年5月31日
これ、決してオーバー表現ではありません。
明治22年の大水害がきっかけになったとはいえ
新十津川町は坂本龍馬の夢
「武士による北海道開拓の夢」
をかなえた町なのです。
以前にも書いたけど(第99~102話)
生前坂本龍馬からこよなく愛され
「坂本先生の敵を!」
と弱冠21歳で憤死した中井庄五郎はじめ
坂本龍馬・土佐郷士たちと十津川郷士たちの
信頼関係はとても深いものでした。
現に龍馬に説かれ
先行して北海道視察をした北添佶摩などは
新撰組の追っ手を逃れ
その前年まで十津川村に隠れていたくらいです。
不器用頑固だけど実直、1000年の昔から
「自らの利益や栄達のためには動かない」
それは彼らが明治維新の大功労者なのに
中央政権には残らず
彼ら全員が十津川村に帰り
そして元の生活に戻ったことが証明しています。
右写真をご覧あれ
彼らはその十津川郷士たちの末裔
尚武館剣道場の剣士たちです(第105話)。
女の子だって同じ心
まっすぐ正面に向かって
「エイ、ヤー!」
ネ、本当に格好いいでしょう。
毎年、十津川村と新十津川町の
剣道交流戦が行われていますが
その彼らの夢は全国大会での決勝戦。
どちらが竜虎かはわからないけど
どちらも十津川郷士の末裔たち。
その名に恥じない
「正々堂々たる勝負で雌雄を!」
と、毎日けいこに励んでいます。
全国のみなさん、ぜひご注目!!
第180話
《朝の列車は 子供たちのお見送りだよ~》
2012年5月29日
昨年初夏から保育所の子供たちが
私たちに代わり旅の人たちのお見送り。
さすが冬の間は中断していたけど
4月になって、雪がとけてきたから復活です。
ただ、これは朝の列車のみ
人が一番多い昼の時間はお昼寝だからです
ごめんなさ~い。
この子供たち
患者さんにとっては医局
またリハビリ科とも違った
第三の治療科、先生なんです。
それは子供たちがリハビリ踊りや
病院の様々なイベントに参加することで
患者さんたちが子供たちと触れ合い
そしてその笑顔やバイタリティーから
直接元気をもらう事もありますが
「もう一つ違った面のメンタル効果が大きい」
と先生方は言います。
「患者さんたちが能動的に積極的になるから」
だそうで、つまり
患者さんは病気で入院しているわけだから
いつもは医師や看護師・介護士から世話を
受け身の状態にいるんだけど、それが
「こんな小さな子、私が守ってあげないと」
と、受け身から能動的に変身するというのです。
半歩前のめりに、そして積極的に活動的にと。
現代の医療は患部を直接治療する方法と共に
内面から、生きる力、直そうとする力
免疫力を高める治療も大事だとされています。
その免疫力を大きく高める治療、いえ先生
それが子供たちなのです。
そんなかわいくて元気な子供たち
雨やカゼなどの病気でない限り
「少しでも旅が楽しくなってくれれば」
と、例え一人の時だって
今日も旅の人たちのお見送りです。
第179話
《今、列車の車窓から……》
2012年5月26日
新十津川町は農業の町
第24話で学園都市線のことを書いたけど
そう、路線は学園線というより田園線
車窓も都市ではなく町? いえ田舎です。
だから見渡す限り田園・山々風景ばかり
でも、「これが良い!」
っていう人も多く
たぶん、何か気持ちが落ち着くというか
精神的に心いやされるのではと。
都市構造は人工的であり固くて機械的
現代生活も時間との競争、そして窮屈な狭い空間です。
それに比してここ学園都市線(札沼線)は
自然の柔らかさ暖かさ
それに悠久の時とまでは言えないけど
ゆったりとした時間の流れ
そして広々とした空間
だよねって私。
この時期、車窓から観えるのが田植え風景です。
昔は一株一株手で植えたのが今は機械植えだから
「それじゃ機械的じゃない?」
って言われればそうだけど
山間(やまあい)の棚田(たなだ)ですら
1枚が1ヘクタールになろうかという大きな区画
それに開拓当時
1軒あたり5ヘクタール平均だったものが
今は15~20ヘクタール
中には30ヘクタールを超す農家もあって
ちょっと手植えでは追いつきません。
だけど十津川町郊外?“ホロカの家”
( 第81話)ではその手植えにも挑戦だよ~!
札幌市のNPO法人 北海道田園生態系保全機構の
田植え会が今日5月26日(土曜日)に開催
ちょうど雨もやんで絶好の田植え日よりでした。
子供たちは今夜は農家に分宿
思い出というよりいつまでも記憶の奥底に残る
楽しい一日を、ネ。
だよね~!!
第178話
《移り行く季節の中でも……》
2012年5月24日
このタイトル、ちょっと詩的過ぎ?
「にあってない」って?
それは私だってわかってるんだけど
他に良い言葉が思い浮かばないし
今日の内容に合ってるかどうかも疑問だけど
最後はそれ、いつもの
「エイヤー!」
というわけで、本題は恒例のリハビリ踊り!!
冬場はいくら暖房がきいているといっても
窓の外はあの極寒曇天吹雪もよう。
患者さんだけでなく
スタッフも保育所の子供たちも
ちょっと動きがにぶかったのだけど
さあ調子が出てきたからね。
新しい外来の患者さんも
みんな集まれ集まれ!!
ここでも「エイヤー!」のかけ声で
“明日があるさ”と“北海盆唄”だよ~
で、どうでしょう右の写真
全身にみなぎる活力全開
リハビリ室は熱気ムンムンでしょ
今年108歳のTさん(第107話)も
率先して先頭に皆勤賞。
それにね、これからの季節
天気の良い日は病棟も保育所も窓が開いてるから
元気な子供たちの歌声が聞こえてきて
それもみんなのエネルギー源に。
ただ幼い新園児が多くなるこの季節
「ちょっと音程はずれてない?」
なんていう声も聞こえてくるんだけど
これはこれでご愛きょう。
それにね、季節と共にだんだん上手になってきて
夏休み前には
きれいなハーモニーになるんだよ~
駅まで聞こえるかな~
第177話
《皆既日食と邪馬台国の女王・卑弥呼》
2012年5月21日
皆既日食の中でも
光のリングが観られる今朝の金冠日食
何日も前から日本列島は大フィーバー
今朝のテレビはどのチャンネルでも
九州から東北まで
リアルタイムでリレー中継です。
かくいう私もリモコンを持ったまま
窓の外をのぞき
はたまたカメラを手にドアを開けて……
しかし残念
金冠日食については色々事前に調べてたのに
肝心の観る準備を何もしていなかったものだから
カラー下敷きを持ち出したり
そこいらじゅうをかきまわし何でも手当たり次第
最後はビニール袋まで切り取って。
で、何とか太陽の形はわかったものの
カメラ撮影となると悲惨なもの。
出来上がりを見ながら
「これ、また友達から何か言われそう」
って思ってたらさっそく成果のメールがあって
「明日香らしいんだから、そのまま掲載したら」
なるほど。だからそのお言葉にあまえて、はい……
でもやっぱり何か言われるかな、これ……
この皆既日食
「邪馬台国の女王・卑弥呼の死と関係が」
という説があるんだそうです。
中国の歴史書・魏志倭人伝や梁書(りょうじょ)
にも記述がある卑弥呼
彼女は鬼道を扱い人心を操っていた?
いやつかんでいたとされ
西暦247年と248年におきた皆既日食で
彼女のその神力・魔力を疑われ死んだというのです。
ただ実際に近年天文学的に正確に調べると
皆既日食ではなく大きく欠けた部分日食
だから関係ないという説の方が強いらしんだけど
わたし的には「関係ある」という方が
何か想像力がわいてくるんだけどな。
だって、太陽が急に欠けてきたら
「この世の終わり」「神が怒っている」
とか思うのは当たり前じゃないかって
それが2年連続も続いたら、ね?
第176話
《今の季節が一番!!》
2012年5月18日
湿気がなく全道“高原の別荘”という夏
そして一面白銀、まばゆいばかりの冬景色
また秋の心も燃える紅葉もステキだけど
わたし的には春が一番。
以前にも書いたけど
木々の調和が最高だからです。
淡いもえぎ色だけでなく
ファッション誌に出てくるモデルさんのような
スキッとまっすぐに立った純白の白樺
その上に広がる新葉は鮮やかな黄緑色。
右の写真でわかると思うけど
これ本当に彩度が高いんだから。
他にも何の木かは知らないけど
紅葉のような赤もあり黄色もあり
そんな中に点在する
これもひときわ彩度が高いピンクの山サクラ。
それらがお互いにお互いをじゃませず
逆にお互いを引き立てながら
すばらしい調和を保っているからです。
これぞ、北海道人そのものをあらわしています。
旅の人、列車の車窓から山々を観てください。
車の車窓から木々の調和を観てください。
日々移り変わっていく
ステキな景色を楽しんでください。
この季節
休みには私も必ず車を。
そして時々は月形まで山間(やまあい)を走り
帰りに列車を追いかけたりしてるんだけど
また久しぶりに札沼線を旅 ? してみたい
と思っています。
そのご報告はいずれ。
果たしてどんな旅になるか
待っててよ~!!
第175話
《コスモスの芽が②……その後》
2012年5月16日
「議論ばかりで中々決まらない小田原評定?」
って言われそうだった新十津川駅
土入れ整備の問題(第173話)
結局、結論として断行。
でないと、昨年みたいな日照りが続くと
夏場にコスモスはじめ花々が
枯れてダウンしてしまうだろうし
何とか世話して持たせても
開花の期間が短くなってしまうし
「それに今のうちに出来る限り
雑草を取り除いておかないと。
だから新土も入れ、土を掘り起こして……」
そんな意見が大勢だったからです。
ただそうなると
もう出てきていたコスモスの芽が
全滅になる恐れが高かったのだけど
一応、昨年の種は採ってあるし
又、まだ2枚葉の今ならその新芽も
かぶさった土をかき分けかき分け
再び元気よく出てきてくれる可能性もあるし
と判断した事もあります。
で、右写真が今日の新十津川駅周り。
幸い昨日から雨になって、これだと
多くの新芽が助かったかも。
それにまた、まだ発芽前だった種も
「ああ、もう春だったんだ」
と、目を覚ますのでは??
なんて期待もいっぱいです。
そんなこんなで皆でワイワイ
また前進、また前進。
チューリップも70%(約1万)が咲き
患者さんも窓を開け
緑色濃く、またカラフルに染まっていく
景色や春風を楽しんだり
ご家族と散歩をする日が多くなってきました。
みんな気持も軽やか春うららです。
第174話
《今年の吉野サクラは?……》
2012年5月14日
前回コスモスの続きの前に
ちょっと今年の吉野サクラ事を。
仕事中にもやっぱり気になって
昨日行ってみました。
それが右の写真です。
天候は曇りだったけどちょうど満開
今年もあでやかなピンク色に染めていました。
淡い新緑とのコラボレーションもステキで
本当に夢色でした。
その後、日本海浜益方向に走ってみたんだけど
ふとバックミラーを見るとそのサクラが。
今回初めて気づいたんだけど
小学校は小高い丘の上
吉野集落の色々な場所から見えるって。
なるほど、祖父の言ってた通り
小学校は地域の中心(第145話)
何かある時はみんな小学校に集まったって
これだけでも納得できました。
運動会の音楽や歓声なんか
どこからでも聞こえたと思えるもの。
だからたぶん
開拓当時からずっと
農作業の手を休めては遠く小学校の丘を
そして子供達の事を思い
自分達で植えたサクラを眺め
ふと笑みも浮かんだのではと。
で、吉野サクラを観た以上
廃校時、統合された新十津川小学校に
子供達が持っていったあのサクラの事もあって
大急ぎで引き返しました(146、147話)。
それが一番下の写真。
もう葉サクラになっていたけど
子供たちの世話を受け元気に育っていました。
それに咲いた痕跡もあったから
みんなを楽しませてくれてるんだね
って、私も思わず……
第173話
《コスモスの芽まで出てきて……》
2012年5月11日
ちょっと驚きというより戸惑い。
数十年ぶりの深い雪も
好天続きと高温に急激にとけてきて
昨秋植えたチューリップが
一気に咲いてきたのは理解できました。
それに「5月中旬から後半」
と、遅咲きが予想されていたサクラが
いつの間にか満開になっていたのも
何とか頭の中で整理できました。
だけどコスモスの発芽となると
それは全くの想定外でした。
というのも昨年は種植えが遅かったとはいえ
芽が出てきたのが7月に入ってから(第45話)
今年は昨年の種が自然に生えてくるとだろうけど
「早くて5月も末近くになってからじゃ?」
「その前に新たな土を入れておこうよ」
「一度底から土を掘りおこし、かくはんしないと」
って準備していたからです。
駅周辺の表土の下は石ころがれき
“花飾り”を始めるにあたって
一度表土を取って新土を入れたのだけど(第22話)
日照り続きには厚さが足りなかったみたいで
追肥に毎日の水やりなど悪戦苦闘。(第50、52話)
で、昨秋にも新たに土を追加。
(11トントラック5台分)
だけどそれでも足りないと思える場所があったり
かくはんまでは済んでなかったし……
「かくはんすると、新芽がダメになるでしょ?」
「でもこのままじゃ良い花を咲かせないわよ」
「じゃあどうすればいいのよ?」
って、結論もなかなか。
「なんだ、いつもの小田原評定に?」
いえいえそれは。
タイミングだけは逸しないからネ。
次回までには決定、実行しておきま~す。
第172話
《さくらだ さくらだ 満開だよ!!》
2012年5月9日
待ってたんだよ~
新十津川駅前、満開だよ~
これ私の心の叫び
心の奥底からわきあがってくる叫び。
えっ? うるさかったって??
まあ、ちょっとは声に出したかも……
でもしかたないでしょ!?
待って待って待ちこがれてたんだから。
さあ、今年も走るよ!!
当然、満開のさくらを追って。
私のことだから北へ北へ、更に遠く北へ
って? も
そこまでは仕事があるから無理だろうけど
山道を高いところに向かって走れば
しばらくは大丈夫じゃないかって
と思ってるんだけど
今年は例年以上に足が速そうだからなあ。
去年だって公休の日にあっちこっちしたけど
(第19、20話)
ほんの一瞬の時期だった気がするもの。
そんな中でこんな穴場も。
浦臼町晩生内神社
神社に穴場なんて言い方は
非礼すぎるかも知れないけど
雰囲気がやっぱり穴場って感じで……
列車での旅人には
歩くにはきついからどうかと思うけど
高台にあるので車の人なら見つけやすいのでは。
右の写真は去年のもの
その時からいつか掲載したいと思ってたの。
少し小ぶりだけど明るいピンクの花びら
今年はまだ行ってはないんだけど
たぶんこれから2、3日が見ごろ
風さえなければ週末まで持つかもよ!!
第171話
《今月の院内飾りは “和”》
2012年5月7日
先月4月のテーマが“花”(第165話)
そして今月5月は
“和”
この字には色々な意味があります。
平和の和
協調の和
それに日本は“和の国”“和の文化”
などエトセトラ。
で、
「じゃあどんな飾りに?」
となるのだけど
欲張りに
「それら全部を合わせたものにならないか?」
なんてケンケンガクガク
いつものように中々まとまりません。
でもそうはいってもこれ難しくて
日本画や浮世絵なんかを飾ったけど
問題はその精神だからな
ってだれかがポツリ。
そしたら先輩いわく
「私たちの日常が和そのものなの
和の精神でなくてはならないのよ」
って。
なるほど、そうか……
さすが先輩、年の功
いえ大ベテランは違う??
いえ、そういう意味じゃ
どうも良い言葉が浮かばなくて
というまなざしで皆。
患者さんもお見舞いの人も
わたしたちスタッフも
明るく元気にいつものあいさつ
みんなステキな笑顔、ニコニコ顔だよ~
第170話
《およげ こいのぼり!! ②》
2012 年5月4日
これ②となってるけど
この話の①は2011年
つまり昨年の4月20日(第10話)です。
あの時
「来年こそは、病院の屋上から
いっぱいに“こい”を泳がして」
というプランだったんだけど
建築の専門家と色々相談した結果
「ちょっとやめておいた方が」
という結論に。
理由は風。
この季節、石狩川下流方向から
とても強い季節風が吹きあげてきて
それも途中は何も遮るものがない田んぼばかり
そこに病院の建物があるものだから
建物にぶつかった風は
その両脇で更に強くなってしまうと云うのです。
確かに先日は一つが吹き飛ばされてしまいました。
というわけで
例年と同じくポール上を泳いでいるのだけど
今年は三本目の仲間が加わったから
それなりに賑やかに。
それに保育所の子供たちの
元気なこいのぼりの歌も聞こえてきて
患者さんも私たちスタッフも
病室の窓から
そしてリハビリ室への渡り廊下から
大空を勇壮に泳ぐこいたちを眺めながら
「元気をもらえるよね」
って楽しんでいます。
外の景色も日一日と春本番
連休で遠くからのお見舞いの人も多く
暖かい春、明るい春、心弾む春を
みんな体いっぱい感じています。
第169話
《春は猛スピードで》
2012年5月2日
極寒の長い冬だと思ってたのに
4月も10日を過ぎたころから
猛スピードで春がやってきて
日によっては
「もうこのまま夏に?」
なんて思うようなことも。
でもこの陽気
ゴールデンウィークの旅を満喫する人たちだけでなく
家で庭の手入れ
そしてのんびり骨休みという人たちにも
最大のプレゼントです。
だって近所を散歩するだけでも
気分が良いもの。
北海道はこれからが一番良い季節
札幌では昨日サクラが開花したというし
ここ新十津川町
そして新十津川駅を訪れる人の数も
急カーブに上昇中!!
そんな旅の人たち
そして日一日と緑を帯びてきた石狩平野を
ゆっくりのんびり(そう見えるから)近づいてくる
列車を窓から見ながら
スタッフだけでなく患者さんの顔も
とけてゆるんで?見えるのだけど
(お化粧じゃないって??
ムムム……またよけいなこと?)
やっぱり春だよね
わたしの頭の中も
もう昼近くというのに眠ったままみたい。
「ひねもすのたりのたりかな」
というより
“ひるねでのたりのたりかな”
でもこれ
肥ってる意味じゃないんだからね!!